- 会期
- 2023年09月29日(金)〜 2023年10月22日(日)
- 開館時間
- 10:00〜18:00(入館は17:30まで)
- 休館日
- 月曜日(但し、10月9日は開館、翌10日(火)は休館)
- 会場
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第1展示室 第2展示室 第3展示室
- 料金
- 無料
-今尚、繰り返されている悲劇の中で、
家族が分断されることのない平和を願って- 杉谷冨代
はつかいち美術ギャラリーでは開館以来、美術作品を通して平和について考える「平和美術展」を開催しています。
第27回目となる今回は、現在の三原市に生まれ広島市佐伯区にアトリエを構えて創作活動を行った染色家、杉谷冨代(1922-2012)の展覧会を開催します。
1945(昭和20)年8月6日、午前8時15分原爆投下の「あの日」。
三原の実家に帰省中の杉谷は、翌日夫が待つ広島市内に戻り入市被爆しました。
五日市の自宅まで何時間も歩き続けた途中、橋が崩れその下を流れる川に無数の死体が折り重なっていた光景を目にしたといいます。
戦後、流産、死産、早産を繰り返し、医師の勧めから母親になることをあきらめた杉谷は、全てを忘れるかのように染色の世界に打ち込みます。
そして、夫を亡くし、ひとり、フランス留学を決意したのは、45歳。
パリでの自由で孤独な日々の中、やっと、銅版画という自己表現に出会った作家は、堰を切ったように「生命」をテーマにした作品を発表していきます。
以降、パリと日本を往復しながら制作すると同時に、パリで美術を学ぶ日本の学生との交流を育み、彼らの拠り所となる存在でもありました。
作風が変化したのは1991(平成3)年69歳、パリ滞在中に届いた湾岸戦争のニュースがきっかけでした。
「あなた、ヒロシマでしょ?」
このひと言から突き動かされ、それまで原爆をテーマにした作品を決して作ろうとはしなかった杉谷でしたが、取り憑かれたように次々とヒロシマと向き合った作品を制作し発表しました。
本展覧会は、染色・銅版画・《輝け太陽》シリーズ作品に加え・被爆建物の遺構材を使ったオブジェ《あの日》(2003年・広島大学文書館蔵)など作家の創作活動を回顧する約60点を紹介します。
杉谷冨代が愛した「水」「風」「地」「空」そして尊い「生命」。作家が生きた証と、作品に託した平和への思いが、皆様の心に染まる機会になることを願っています。
(本展は広島国際平和文化祭連携イベントです)